自然とともに
〜いのちを育てる〜
自然豊かな里山を舞台に四季折々の遊びが展開されていきます。
子どもたちは体を動かし、五感をふるわせ、溢れんばかりの自分を表現します。草花や虫や土に触れ、その美しさや不思議さに感銘し、発見することの喜びを味わいます。
自然のもつ繊細な仕草や大らかさ、その営みにいのちの在り方を学び、豊かな感受性や様々な情緒を芽生えさせていきます。
今の社会ではボタン一つでお米が炊き上がり、明かりを確保でき、お湯を沸かすことができます。しかし、家庭で思い通りにいくことも自然の中ではそうはいきません。昨日と同じように火付けをしているはずなのになぜか上手くいかない、夏は暑くて冬は寒いから工夫を凝らさなければいけない、種を植えて食べられる野菜に育つまで何ヶ月もかかるなど、自然は複雑で時間もかかり甘やかしてなんかくれません。
厳しくて温かいそんな自然が子ども達の遊び場です。
遊びの中で子ども達は目の前の一瞬に深く入り込み、夢中になって自然に挑みます。遊んだ後はともに挑んだ仲間と自分たちの挑戦について語り合い、誇らしげに笑い合って、後には爽やかな疲労感が子ども達を包みます。
子どもたちが関わっていく社会や他者も、自然のように思い通りにいかないということが道理なのではないでしょうか。上手くいかないときにどうしたらよいのか、仲間とどう支え合っていくのか、歩んでいるうちに必ず目の前に現れる困難な出来事との付き合い方は自然が教えてくれます。
仲間とともに
~暮らしを手がける~
道の子は暮らしの匂い漂う学び舎です。手作りの暮らしでは自分たちに必要なものを手作りし、旬の野菜を育て、季節の行事を開きます。便利な道具に頼るのではなく、手を使い体を動かしながら仲間とともに時間をかけることで豊かな過程を体験します。欲しい結果に至るまでの過程にこそ子ども達の学びは隠されています。
さらに、手作りの暮らしでは何をやるにも一人で成し得ることはできません。関わりの中でおのずと名前を呼び合い、響き合い、手を取り合うことで、実感を伴った有機的な場が作られていきます。誰もが手作りの暮らしを手がけていく一員であり、その時々において明確な役割を担う存在です。子ども達は与えられることを待つような受け身な姿勢ではなく、自分自身で日々を作り上げていく主体になってゆきます。
子ども達が満たされていると、自分の大切な仲間の支えになろうとしたり大切な場所をよりよくしようと自分を活かしたりと、積極的に自分自身を発揮しようと試みます。この与える行為こそ喜びであり、自分を知るきっかけになるのです。
子どもたちには、日々の活動を通して困難なことでも仲間とともに乗り越えていけるんだという自信を掴み、仲間との支え合いの中で生まれる喜びを感じて欲しいと願います。